2022.11.02

セーフティグローバル推進機構・理事 藤田俊弘が令和4年度「産業標準化事業表彰」の内閣総理大臣表彰を受賞しました。

一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP・会長/向殿政男)の理事である藤田俊弘が、長年にわたる産業標準化活動の貢献を認められ、令和4年度「産業標準化事業表彰」(主催:経済産業省)の内閣総理大臣表彰を受賞しました。

表彰式は、令和4年10月24日(月)都市センターホテル(東京都千代田区)にて行われました。

内閣総理大臣表彰は国際標準化活動を通じた日本の地位向上や、日本発の国際標準の実現等、我が国の国際標準化に極めて顕著な功績があった者に対する表彰であり、今回の受賞は、藤田理事が20 年以上にわたり牽引役として推進してきた、多角的・多面的な日本発の国際標準化や国際ルール形成活動への貢献が高く評価されたことによるものです。

【主な功績】

過去の経験から、日本から国際標準化活動を行うことの重要性を知り、多くの欧米企業や標準化機関、認証機関を訪問し、交流を重ねることで日本リードでの国際標準化活動の牽引役として尽力してまいりました。

また日本発の国際標準化活動推進のため、日本認証株式会社(JC)、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)、一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP)の設立を提案・実践し、経済産業省の支援を得ながら新たなルール形成を積極的に推進するなど、日本における国際標準化活動に大きく貢献しております。これまでの主な活動内容については、以下の通りです。

【受賞理由】

■ 産業用ロボットなど多様な現場の安全性向上に貢献

日本企業が世界シェアの60%を有し、基幹産業の一つである産業用ロボットの安全性向上に貢献する「3ポジションイネーブル装置※」を開発し、IEC(国際電気標準会議)規格を2006 年に発行いたしました。国内だけでなく、海外メーカーのロボット安全操作用装置として広く普及し、従来のロボットティーチング装置だけでなく、工作機械や建設機械における安全装置としての適用例などを、当該規格に盛り込む改正を主導いたしました。この改正により、多くの装置や建設現場など新しい分野でも有効であることが示され、人と機械が共存する、さまざまな現場における作業者の安全確保に寄与しております。

※3ポジションイネーブル装置は、誤操作や予期しない危険事象が発生した際に手を離す、もしくは強く握りこむという人間の反射的な動作で機械を停止させる安全操作用装置です。

■ 日本発で次世代の安全思想「協調安全(Safety2.0)」を提唱し、グローバルに発信

人と機械を隔離するのではなく、人と機械と環境(置かれている状況)とがICT を活用して情報を共有することにより、安全性と生産性との両立を目指す、次世代の安全思想「協調安全(Safety2.0)」を日本から推進するため、一般社団法人セーフティグローバル推進機構を設立し、安全に関する国際標準化活動を推進してまいりました。また経済産業省の支援を得て、IEC 上層部とも連携し、IEC ACOS(安全諮問委員会)において協調安全を検討することについての提案を主導することで、IEC MSB(市場戦略評議会)より、協調安全を詳細に記載したIEC 白書「Safety in the Future」が2020 年に発行されました。2020 年からは、国連専門機関であるILO(国際労働機関)がリードしている、GlobalCoalition for Safety and Health at Work(労働安全衛生グローバル連合)の企業推進タスクグループのメンバー6名の内の1名に選ばれ、アジアからの唯一の代表として、安全、健康、ウェルビーイングのルール形成活動に参画しております。2022 年に実施したVision Zero Summit Japan 2022 の推進責任者に任命され、5月のサミット開催時には、新しいマニフェストの基盤となる「すべての人のためのビジョンゼロ東京宣言」に、協調安全を包含する形での取りまとめに尽力いたしました。

■ 機械安全の要員資格認証制度の構築と国際標準化に向けた活動を推進

一般社団法人日本電気制御機器工業会(NECA)において、経済産業省の支援・指導を受けつつ、機械を安全に設計・運用する要員の育成と認証を目的とした、安全要員資格制度(セーフティアセッサ(SA)制度)を提案、制度開発を行うなど、立ち上げに尽力いたしました。2003 年には工業会規格を制定し、日本発のグローバル認証機関を目指す日本認証株式会社を創業して、2004 年からSA 制度運用を開始するとともに、グローバルでの普及を進めております。ODA 制度の採択などを通じ、アジア7 か国を含む国内外で2.5 万名を超えるSA制度資格者の普及を実現することで、国内外の生産現場の安全確保に貢献いたしました。

2016 年、日本提案によりIECEE(IEC 電気機器安全規格適合性試験制度)における、要員力量認証タスクフォース(現CMC WG34)の設置が承認されました。2019 年に上記工業会規格は、JIS として制定されております。またIGSAP において、従来の技術者向けのSA制度に加え、経営層向けのSO(セーフティオフィサ)制度も新設され、国内外の企業に採用いただくことで、更なる事故削減に貢献しております。

■ 日本発の「ファインバブル※」の国際標準化を推進

ファインバブル技術を日本発の産業とし、新市場を創造していくため経済産業省の支援を得て、標準化実施母体となる一般社団法人ファインバブル産業会を設立するとともに、ISO(国際標準化機構)に提案し、ISO/TC281(ファインバブル技術)を設立いたしました。TC 運営にも戦略的に関与し、日本代表委員として参画し、定義・計測・応用に関する日本発の国際規格15 件の発行に寄与しました。また国内において、標準化と両輪となる認証制度の構築も行い2021 年度末で31 件の実績があるなど、日本主導でファインバブルに関する国際規格体系を創成することで社会認知が向上し、ファインバブル産業の創造と成長に大きく寄与いたしました。

※ファインバブルは、直径が100μm(=0.1mm)より小さな泡のことで、さまざまな業界における活用が期待されております。

【略歴】

1992年 松下電器産業株式会社(現:パナソニック株式会社)退社後、和泉電気株式会社(現:IDEC株式会社)入社
1998年 同社技術経営担当 常務執行役員(現任)
1999年 一般社団法人日本電気制御機器工業会 制御安全委員会委員長(兼)副会長(現任)
2003年 日本認証株式会社 代表取締役会長(現任)
2012年 一般社団法人ファインバブル産業会 副会長(兼)戦略企画委員長(現任)
2013年 ISO/TC281(ファインバブル技術) 日本代表団長(現任)
2016年 一般社団法人セーフティグローバル推進機構 理事(現任)
2020年 Global Coalition for Safety and Health at Work タスクグループメンバー(現任)