経済産業省製造産業局大臣官房審議官の佐藤文一氏の開会講演を皮切りに、本シンポジウムはスタート。特別講演として、産業革新機構代表取締役(CEO)兼日産自動車取締役副会長の志賀俊之氏が来るべきクルマ社会と未来の安全の在り方について言及。続く、IGSAP会長で明治大学名誉教授の向殿政男氏は、大きな社会変革が起る中でいかに安全を構築していくか、その道標となる「未来安全構想」を初公表した。
今回のシンポジウムでは、ドイツとフランスから来日した、世界の安全を引っ張る著名な研究者も登壇。ドイツのディートマール・ライナート氏は「安全から見た、『Industry4.0』成功のカギ」、フランスのディディエール・バプティスト氏は「技術革新が求める組織変革:事故防止対策の効果について」というテーマで講演し、聴講者と欧州の最新安全情報を共有した。
その後、IGSAP理事の面々が相次ぎ講演した。藤田俊弘氏は、経営者の役割や戦略的な取り組みの重要性を強調。三菱電機株式会社FAシステム事業本部機器事業部主席技監の小平紀生氏は日本ロボット工業会システムエンジニアリング部会長の立場で産業用ロボットの安全性について言及した。安達功氏はIGSAPセーフティエグゼクティブ委員会のメンバーである清水建設土木技術本部執行役員本部長の河田孝志氏とJALエンジニアリング整備監査部主席整備監査員の白井一弘氏を連れ立って、日本社会で顕在化してきた新たなリスクについて触れた。
最後のパネルディスカッションでは、藤田氏の進行の下、向殿氏、ライナート氏、バプティスト氏、小平氏、河田氏、安達氏が登壇し、会場から集まった多くの質問に答える形で未来の安全や安全の投資対効果などについて意見を交わした。会場と一体となった進行に、聴講者は壇上で展開される熱い議論に身を乗り出して聞き入っていた。
最後は、中央労働災害防止協会理事長の八牧暢行氏から閉会挨拶をいただき、丸1日にわる国際シンポジウムは幕を閉じた。
https://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/ken/NA170608/
写真:菊池くらげ
提供:日経BP総研