まず、安全の世界的ベンチマーク企業として知られるデュポンの代表取締役社長の田中能之氏が登壇し、同社で連綿として築き上げてきた安全経営を実践するための極意を披露した。
続いて、二つのパネルディスカッションを展開した。
一つ目のテーマは、「英建設業の安全実績が世界で一番高い理由とは」。実は、英国における建設業の死亡者数は年間2人弱(10万人当たり)と、日本の約1/3と少ない。英国の建設業で安全実績がこれほど高いのは、なぜなのか。英国からHSE(英安全衛生庁)国際本部主任審査官のNic Rigby氏を招き、その理由について、IGSAP理事の安達功氏を中心に、IGSAPセーフティエグゼクティブ委員会のメンバーである清水建設土木技術本部執行役員本部長の河田孝志氏と、日揮品質・安全・環境室技術理事室長代行の杉本亨氏が迫った。
二つ目のテーマは、「未来安全を考える」。IGSAP理事の藤田俊弘氏をモデレーターに、Rigby氏、IGSAP会長の向殿政男氏、中央労働災害防止協会マネジメントシステム審査センター専門役の高岡弘幸氏、労働安全衛生総合研究所機械システム安全研究グループ上席研究員の清水尚憲氏が登壇。IGSAPが継続的に実施している海外調査から明らかになった、欧州における「Vision Zero」や「Zero Accident Forum」といった最新の取り組みを紹介しながら、日本企業が抱える安全の課題や今後の安全の在り方について考えた。
本シンポジウムは半日という短い枠だったが、新しい安全の時代を見据えて深い議論を展開できた。